資源ライブラリー No.1
2013.11.03

鉄の話

金属くずを扱うスクラップ業界では、金属は鉄と非鉄金属に分けて語られます。元素だけ見ても金属は70種類以上は存在するというのに、「鉄とそれ以外」とはずいぶん大雑把なくくりに感じます。しかし、それだけ鉄の総生産量が圧倒的に多い証であり、金属を代表すると言ってよいくらい私たちの生活に不可欠なものなのです。

ひらつねで取り扱う金属くずのうち、やはり鉄の量は群を抜いています。鉄がどのように生まれ、そしてリサイクルをされているのかを「鉄くず屋」の目線から紹介いたします。

石を投げれば鉄に当たる!?

日本で1年間に生産される鉄(粗鋼)は約1億7百万トン!

東京タワー(約4,000トン)に単純換算すると、約2万6千個分の重さ。2万個以上の東京タワーが毎年誕生していると考えると、にわかには信じがたい気分になります。

これは、中国に次ぐ世界第2位の生産規模になります。(図表1)

そして、なんと国内に蓄積されている鉄製品の重さは、約13億トン超にもなるのだとか……(図表2)

そう、名実ともに、私たちは鉄とともに生活しているのです。

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鉄の行方を知っていますか?

これだけ鉄分過多に思える環境なのに、実際には鉄に埋もれずに生活できているということは、ちょっと不思議なことなのではないでしょうか?

それは、こうした鉄製品にも寿命があり、老朽化や破損して廃棄されることが最大の要因なのです。

もちろん、鉄を加工する過程で発生する切削くずや不良品なども定期的に廃棄されるので、工場内が鉄であふれることはありません。こうして廃棄される鉄くずは鉄スクラップとも呼ばれています。

わが国では、1年間(2011年)に約2,300万トンの老廃スクラップ、約650万トンの加工スクラップが、それぞれ排出されていると言われています。

使用済みの鉄製品が老廃スクラップになるので、私たち消費者・生活者の目線では、老廃スクラップがより関わり深いものになります。

その数値を参考にすると、毎年一人あたり約170kgもの鉄スクラップを排出していることになります。

そして、これら鉄スクラップは、そのままどこかに捨て去られてしまうのではなく、リサイクルされてまた新しい鉄に生まれ変わっているのです。

具体的には、①産業や生活の場で不要となり排出された鉄スクラップは、②専門の回収業者や解体業者が集荷・運搬し、③加工業者が一定の規格に選別・加工し、④製鋼メーカーの原材料として納品され、⑤製鋼メーカーによって再び鋼材にリサイクルされ社会に還元されています。

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リサイクルされた鉄の特徴

ところで、一口に鉄といっても、製鋼方法によって「新品の鉄」と「リサイクルの鉄」に大別されることは、ご存知でしょうか?

製鋼方法には、高炉法と電炉法の2種類があります。鉄リサイクルの分野では、電炉法が華々しい活躍をしています。

高炉法
鉄鉱石と石炭(コークス)を原料に高炉(溶鉱炉)で銑鉄をつくり、さらに転炉で精錬し、成分を調整して鉄鋼を生産します。
電炉法
電極に高電圧をかけた際に発生するアーク熱を利用して原料の鉄スクラップを溶かし、成分調整して鉄鋼を生産します。

生産方法および原材料の違いから、一般に電炉法による鉄は強度や硬さが特徴とされ、主に建材(鉄筋や鉄骨など)として利用されています。

ただ、鉄スクラップには銅をはじめとする異種金属などの混入物が含まれていることから、純度の面で勝る新品の鉄が好まれる場面もあるという話も聞きます。

高炉法の鉄は、圧延性・加工性の高さが必要とされる家電製品や自動車外装材、精密部品向けに多く用いられています。

鉄をリサイクルするメリット

鉄をリサイクルする最大のメリットは、環境負荷の抑制にあります。

高炉法では、鉄鉱石や石炭を大量に使用することから、輸入や国内輸送に要するエネルギーが高くなりがちです。設備自体も大がかりで、一度操業を開始すると15~20年は停止できません。

一方、電炉法は、鉄スクラップを活用する生産特性や操業の融通がきく設備規模により、高炉法に比べて消費エネルギーが約1/3、CO2排出量は約1/4で済むという試算もあります。(図表4)

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しかし、日本の鉄鋼生産に占める電炉鉄の比率は約21%にとどまり、世界平均29%に比して低いのが現状です。(図表5)

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これは、日本の製造業で需要が多い高品質の鋼板・特殊鋼は、不純物が含まれるスクラップを原料として製造するのには不向きであることが一つの要因とされています。

また、近年は内需不振により、鉄スクラップ発生量が需要量を上まわり、余剰分は鉄鋼需要の旺盛なアジア諸国へ輸出され、その量は年間約600万トンにものぼります。

もちろん、新品の鉄があってはじめて鉄スクラップが発生するという関係上、全て電炉法に代えることは不可能です。また、日本の高炉が世界でトップクラスの効率を誇ることを勘案すれば、電炉鉄の比率が少ないのも納得できる……という大局的な議論も成り立ちえます。

一方、鉄スクラップを高級鋼の分野に利用すべく研究開発を進める事例も増えており、電炉の技術革新から目が離せません。

あなたなら、高炉・電炉のベストミックスをどう考えるでしょうか?

鉄リサイクルの課題

最後に、鉄リサイクルを取り巻く今日の課題をいくつか紹介します。

ケース1 トランプエレメント

鉄スクラップ中に混入した銅やスズなどの金属。これら鉄以外の含有量が高くなると、鋼材の強度や耐食性、延性などの材質特性に影響する懸念があります。リサイクルの回数を重ねるにつれて濃縮される傾向にあります。

ケース2 環境配慮の矛盾

自動車等で、省エネの必要から素材の軽量化が求められると、様々な添加物や複合素材が開発されています。しかし、それが鉄スクラップになった場合、純度の低い原材料になってしまい、逆に再資源化を阻害してしまうという矛盾が存在します。

ケース3 高品位鉱の枯渇

現在多用されている高品位かつ低コストの鉄鉱石は原産国に偏りがあり(図表6)、しかも長期的に枯渇傾向にあるとされ、低品位鉱を利用する技術開発が求められています。とは言え、同じベースメタルとされる銅の原料である銅鉱石が数十年で枯渇する懸念があることに比べればまだマシですが……

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私たち個人でできること

家庭から排出される家庭ごみや粗大ごみに含まれる金属くず(約162万トン/年)のうち、約40%がリサイクルされず埋立処分されているという推計があります。

金属くずの大半は鉄スクラップですから、適切に分別してごみ出しすれば、鉄としてリサイクルされる可能性がぐっと高まります。

また、これまで見たように、鉄と他の金属が混合しないよう、分離しやすい形で廃棄するよう配慮することも、リサイクル鉄の品質を維持するのに大切なことになります。

ひらつねでは、個人のお客様の鉄スクラップの処分または買取りをしております。不要になった鉄くずを放置して朽ちさせてしまう前に、確実なリサイクルのルートに乗せることも一つの方法なのではないでしょうか。

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